イベント参加レポート 食物アレルギー関連イベントの取材レポート

番外編[Vol.3] 「尼崎医療生協病院 皮膚科・アレルギー専門医 玉置昭治(たまき あきはる)先生」取材レポート

今回は、イベントレポート番外編と致しまして皮膚科医でアレルギー専門医でもある尼崎医療生協病院の玉置先生にアレルギーに向き合う方法や、ご専門のアトピー性皮膚炎と食物アレルギーの関連性についてお話を伺いに行ってきました。
医師として十分な経験と、少しでも母親の悩みを少なくしたいというあたたかな人情味あふれる玉置先生のお話です。

「お母さん、お父さんが一息つくことも大事!」まずは保護者の不安とストレス除去から

近頃はインターネットや書籍で多くの情報を得ることができますが、不安解消のための努力が、親の必死さからそれらで得た情報によってさらに不安を高めてしまうケースもあるそうです。中には診療でこられた母親の悩みを聞いていると、おもわず涙を流してしまうほどの不安を一人で抱え込んでしまっている方もいるのだとか。

先生の診察では、まず医学の正確な知識で保護者の不安を取り除き、母親の心配や苦悩を聞いて、早寝早起きやバランスのよい食事を勧めるなど生活習慣の指導を一緒にするよう心がけられています。

親子ともに不要な不安とストレスを取り除いて、心と体をよい状態に保つことが結局治療の早道にもなります。

すぐにできる!アレルギーに負けない生活習慣!

食物アレルギーを引き起こす食べ物はそばや落花生、薬物アレルギーなどの強いアレルギーから、エビ、カニ、青魚のような食材と続き数段階に分類されます。そば、落花生、薬物アレルギーなどは強いアレルギー反応が出ますので、原因がはっきりしている場合はまったく生活から遠ざけてしまうのが一番の近道。

ただ、一部の強いアレルギーを引き起こすもの以外は、食べ続けることによって症状を抑える例もあるのだとか。先生のご経験で、多忙で一週間ぶりに“お米”を食べてショックを起こした患者さんに、毎日“お米”を食べ続けるよう指導して症状が出なくなったこともあるそうです。一般的によく使われる抗ヒスタミン剤や、抗アレルギー剤の内服といった対処療法とは違った療法で「減感作療法(げんかんさりょうほう)」として応用しながら取り入れられていました。もちろん減感作療法には専門医の観察とアドバイスが必須なのでご注意下さい。

また、軽いアレルギーの場合は食材の調理方法や環境、そしてなにより「体調や気力」によってアレルギー反応が出ない事も多々あるそうです。

先生ご自身も中・高生の頃にひどいアレルギー性鼻炎をお持ちだったのが、仕事をバリバリこなし自分に自信がついてきた頃にはピタっと治まっていたそうです。ところが先生のお父さんがお亡くなりになって、喪主を務めた後に部屋の掃除をしたところ、約30年ぶりにくしゃみと鼻水が・・・。

また一般的にも「今年は花粉症になってないなぁ~。花粉が飛んでないのかな?」などの会話はよく聞きます。「これはアレルギーそのものが治ったわけではなく、気力と体力で症状が出なくなっていた証拠(笑)」だそうです。

「アレルギー自体は治らないと考える方が自然です。心身ともに充実させて免疫力をアップさせ、アレルギー症状を抑えることは誰でもすぐに取り組めるし有効ですよ」とおっしゃられました。

だからこそ、不安とストレスを取り除いた上で規則正しい生活習慣を指導・・・なるほど納得です!そして心身ともに充実させて体の免疫と高めることはアレルギーのみならず、あらゆる病気の予防、改善に応用できますね!

食物アレルギーとアトピーは別モノ!!

食物アレルギーとアトピーの両方に悩まれている方の中に「食物アレルギーが原因でアトピーになっている」 と考えられる方がいます。残念ながら小児科の先生でもアトピーの原因を食物アレルギーだと伝える方がいらっしゃいます。先生によるとこれははっきりと間違いで、正しくは「食物アレルギーとアトピーが併発していると見るべき」だそうです。

アトピーの皮膚症状は肌の表皮に現れる“湿疹”なのに対して、食物アレルギーは表皮より深い真皮で起こる“蕁麻疹(じんましん)”。このことから食事制限によって蕁麻疹の原因物質を除去してもアトピーそのものはよくなりません。

食物アレルギーとアトピーは別々の症状として正しく認識し、それぞれにあった治療法を用いることが必要とのことでした。

アトピー性皮膚炎には一定の定義があります。生まれた直後の乳児湿疹や「あせも」を見て、アトピーではないか?と不安にかられた保護者の方が、インターネットや書籍を見て不要に食事制限に取り組まなくては・・・と思い込んだり、ステロイド軟膏(なんこう)は怖いみたいなことが書かれているのを見てパニックになったりとすることがあるそうです。先生は保護者の方が情報を集めすぎて未消化になり、不安を感じる情報に過剰に反応してしまうことで保護者や患者の精神的な負担になっているのではとお考えでした。

現在の核家族化でおじいちゃん、おばあちゃんのアドバイスや、子育て先輩の助言がうまく受けられなくなってしまったことが原因なのかもしれませんね。子供のために情報を収集したり勉強をすることは大切なことですが、子育てのアドバイスや不安やストレスを取り除いてくれる人間関係を作ることも大切だなと改めて思いました。
そして不安があれば、何でも一人で抱えこまないでまずはお医者さんに相談に行くのがベストですね!

よい先生との出会いを!不安な時の先生選びワンポイントアドバイス

なかなか難しいアレルギーのお話を分かりやすく解説してくれた玉置先生。
先生のような方に診察してもらいたいと思っても、住んでいる地域や環境によってなかなか難しいかなと思います。そこで失礼とは思いながらもよい医師と出会うためのワンポイントアドバイスをうかがってみました。会話形式でリポートします。

――インターネットや書籍を見て意見に賛同し、著者である先生にメールや電話で診てもらうってどうなんでしょうか?

玉置先生:私の場合、診察は昔から対面で行うのを基本としています。時々うちにもメールや電話での相談がありますが残念ながらお断りしています。やはり会って色々と話を聞き、実際に症状や患部を見て診察しないと正しい治療に結びつきません。これはあらゆる分野の医師共通の思いだと思いますよ。

【ポイント1】あたりまえのことだけど、診察は対面が基本!

――先生、率直にお伺いしますが、どんなお医者さんがいいお医者さんですか?(笑)

玉置先生:一言で言うのは難しいなぁ。。。(苦笑)ただ、患者や保護者の話をじっくり聞いてくれる人がいい医師だと思います。悩みもそうだけど、日常の具体的な症状や症状の出かたを一番良く見て知っているのは患者さんご本人と保護者。アレルギーは人によっても症状の出かたが複雑だったりするから、より多くの判断材料があった方がいいですね。

【ポイント2】じっくり話を聞いてくれるお医者さんを!そしてできるだけ多くの情報を整理して先生に伝えて!

――アレルギーがあって食事制限などを取り入れていて何か異変があった場合、とりあえずかかりつけの小児科が頭に浮かぶんですが、例えばそれが皮膚の症状だとしたら皮膚科の先生に見てもらった方がいいですか?

玉置先生:もちろん、そうですね(笑)。基本的には専門医の方がいいです。ただ、アレルギーは根本的な治療は難しいので様子を見ながら継続的に治療を続けていくケースがあります。そういった場合は医師にもそれぞれ専門と得意分野があるので、複数の医師に意見を求めてみるのもいいかもしれません。

【ポイント3】基本的に専門医に相談を!時には複数の医師の意見も取り入れて!
~リポーターより~

実際のインタビューでは約2時間にわたってアレルギーとアトピーについて症例の資料を交えて詳しくお話いただきました。長いキャリアの中で数多くの患者さんと接し、治療はもちろん、保護者の不安やストレスの解消、生活全般のアドバイスまで行う玉置先生から「医は仁術」という言葉が浮かびました。
玉置先生、どうもありがとうございました!

玉置先生のご研究について詳しくお知りになりたい方は、下段の資料、または著書をお求め下さい。みなさまのお悩みが少しでも軽くなり、アレルギー症状が少しでもよくなることをお祈りしています。

玉置先生のプロフィール

略歴
  • 1972年神戸大学医学部卒業
  • 1980年神戸大学医学部皮膚科講師
  • 1986年淀川キリスト教病院皮膚科部長
  • 2003年淀川キリスト教病院附属クリニック所長
  • 現在 尼崎医療生協病院 皮膚科勤務
兼任 神戸大学医学部非常勤講師(1986年~2004年)/日本アレルギー学会評議員(2000年~2005年)
専門分野 アレルギー性薬疹、蕁麻疹、膠原病、アトピー性皮膚炎
著書
  • 「二人三脚で治す アトピー」清風堂書店
  • 「脱ステロイドでアトピーを治す~淀川キリスト教病院の治療体験集」メディカ出版
  • 「アトピー性皮膚炎とこころ~医療の現場から~」丸善大阪出版サービスセンター
他 共著など
尼崎医療生協病院

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